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債務整理ADJUSTMENT OF DEBTS

概要 〜メリットとデメリット〜

 月々の返済額が大きく,返済が生活を圧迫しているというような場合,「債務整理」により,生活の安定を取り戻せる可能性があります。
 この整理の対象となる「債務」には,消費者金融からの借入,クレジットカードの負債,ローン負債など,ほとんどの負債を含みます(なお,租税など一部例外はあります)。
 そして,この「債務整理」の方法には, ・任意整理 ・裁判所の手続を使った法的整理(破産・民事再生) があります。

 それぞれの整理方法につき,ここでは,
  @返済すべき総額
  A返済の「元手」は何か
  B債権者との関係での不利益
  C債権者以外との関係での不利益
の4つの分析視点から,主要なポイントをご説明します。

 なお,ここに記載しているのはそれぞれの整理方法についてのポイントの一部です。ケースによっては,これ以外のデメリット等が存在する場合もありますので,ご注意ください。

任意整理

概要

 これは,消費者金融やクレジット債権者などと直接交渉して,支払い可能な弁済方法に条件を変更してもらう交渉をする,という方法です。
 通常は収入状況を考慮の上,元本額をベースに「36回払い」「60回払い」などの弁済案を作成し,業者に対し個別に提案していくことになります。
 こちらからの提案に業者の了解が得られれば,和解書を作成し,その条件で支払いをしていくこととなります。

@返済総額

 基本的には,借り入れた元本全額(なお,業者によっては元本だけではまとまりにくいこともあります)です。もっとも,借り入れが古いものなどについては,利息制限法に基づく引き直し計算により,残債が減少する(あるいは過払い金が発生してその返還を業者に請求できる)可能性があります。

A返済の元手

 返済資金の調達方法について,限定はありません。通常は,毎月の収入から少しずつ返済をしていくことになります。 逆に言えば,毎月の収入から返済可能な金額で業者との交渉がまとまらなければ,次の法的整理を検討する必要が出てきます。

B債権者との関係での不利益

 他の債務整理でも同じですが,整理の対象となる債権者とは,当面(5年〜7年くらい)の間,新しい取引ができなくなる可能性があります。

C債権者以外との関係での不利益

 これもほかの債務整理でも同じですが,債務整理をしたという事実が,信用情報機関のリスト(いわゆるブラックリストなどといわれるものです)に登録されるため,債権者以外との関係でも,新しくクレジットカードを作ったり,ローンを組んだりすることが難しくなります。信用情報機関によれば,大体5年くらいはこの情報が登録されるようです。

Dその他全体的にみて

 任意整理は,以下のような方に適した方法と言えます。
  ・ある程度安定した収入はあるが,約定どおりの弁済は難しい
  ・特定の債権者に限定して整理したい
  ・事情があってどうしても法的整理がしたくない

破産

概要

 破産は,きわめて概括的に言えば,裁判所の選任する破産管財人が,今ある財産を売却等によりお金に換えてできる限りの返済をおこない,弁済しきれなかった部分については,裁判所の許可を得て全額の支払免除が受けられるという仕組みです。 

 破産の最大のポイントは,手続が無事終了すれば,その時点で負債が0になる(例外:租税など一定の負債)ということにあります。他方で,上記のように,財産をお金に換えられてしまうという大きなリスクもあります。

 もっとも,個人の破産は,「経済生活の再生の機会の確保」(破産法第1条)を目的の一つとしていますので,生活保持の観点から,評価にして99万円相当の財産は手元に残すことができます。言い換えれば,手持ちの財産の評価額が99万円を下回るような場合には,財産の売却等がなされることはありませんので,少ない経済的負担で負債からの完全な開放が得られることになります(ただし,事案により例外はありえますので,詳細についてはご相談いただく必要があります)。

@弁済総額

 現有財産の評価相当額です。(ただし,財産の評価額合計が99万円以下なら,弁済額は0となるのが通常です。) なお,弁済は破産管財人が行います。すなわち,自分で弁済する必要はありません。

A弁済の元手

 今ある財産です。したがって,手続開始後に手に入った財産(給与など)は,すべて自由に使える(=弁済にあてなくてもいい)ことになります。

B債権者との関係でのデメリット

 破産手続は,債権者間の公平のための制度ですので,特定の負債だけを整理するということはできません。返していきたい負債についても,他の負債と平等に破産手続の中で処理されることとなります。たとえば,住宅ローンだけは返していきたいと思っても,住宅ローン債権を破産手続の対象から外すことはできません。 その他は任意整理と同様です。

C債権者以外との関係でのデメリット

 破産手続中は,一定の職業(いわゆる士業など)について就業の制限がなされたり資格喪失事由となる場合があります。 また,破産管財人が選任されるケース(財産の評価額が99万円を超えるようなケース,不動産があるケースなど)では,裁判所に収める予納金が必要となりますので,手続利用コストが大きくなります。 その他,任意整理と同様の不利益があります。

Dその他全体的にみて

 破産は,以下のような方に適した方法と言えます。
  ・負債の金額が非常に大きい方
  ・資格に基づく職業ではない方
  ・財産の少ない方

民事再生(個人再生)

概要

 個人再生は,裁判所の監督の下,負債の内の一定額を3〜5年で支払うことができれば,残りの負債については全額免除を受けられる,という仕組みです。

@弁済総額

 負債総額の5分の1が一つの目安です。しかし,100万円は最低でも弁済する必要があります。例えば,負債総額が300万円の場合でも,100万円は弁済しなければなりません(60万円,とはなりません)。
 また,弁済額は今ある財産の評価額を上回らねばならない,などの注意点もあります。
 
 いずれにせよ,破産とは違ってある程度は支払う必要がある一方で,任意整理とは違って負債全てを支払わなくても解放される,というのがポイントです。

A弁済の元手

 限定はありません。
 そのため,多くのケースでは,これから得られる収入(給与など)から3〜5年かけて返していくこととなります。すなわち,破産のように,手続上今ある財産をお金に換えられてしまうことはありません。
 逆に言えば,破産では,原則として手続開始後の手に入る収入は全て自分のために使えるのに,個人再生では,手続後の収入を全て自分で使う,ということは困難です。

B債権者との関係でのデメリット

 破産と同様,総債権者の公平が重要視される制度ですので,原則として一部の債権者だけ手続きから除外することはできません。

 もっとも,例外として,住宅ローンだけは,今までと同様(あるいは条件を緩和して)支払い続けることができる場合がある,という特徴があります。
 すなわち,住宅ローンの残った自宅がある場合,破産手続においては,住宅ローンだけを支払い続けることは許されないため,原則として競売等により自宅を手放さねばならなくなります。
 しかし,個人再生(住宅資金特別条項付の再生計画案による個人再生)においては,今まで通り住宅ローンを支払い続けながら,それ以外の負債については圧縮して支払う(=支払に一定程度余裕を持たせる),ということが可能となります。

C債権者以外との関係でのデメリット

 破産にくらべ,職業制限や手続利用コストの点で,有利です。
 他方で,債務整理と同様のデメリットは,個人再生でもなくなりません。

Dその他全体的にみて

 個人再生は,3〜5年というある程度長期間の継続的な弁済が必要であり,そのような弁済が安定してできるだけのきちんとした収入の見込みが必要です。
 その意味で,破産よりもハードルの高い手続と言え,現状の分析および今後の見通しの評価が欠かせません。

 したがって,個人再生は,次のような方に適した手続と言えます。
  ・今後も安定した収入が見込める
  ・住宅ローンを支払い続けて自宅を維持したい
  ・資格制限等のため,破産を利用できない

債務の整理を弁護士に依頼するメリット

 まず,弁護士に依頼し,受任通知が債権者に届いた以降は,弁護士において交渉を行いますので,請求等が本人に行くことは原則ありません。すなわち,請求等がない分,精神的には楽になるという面があります。

  次に,すでに述べてきたように,債務の整理には,
  @負債・財産・その他の状況の客観的な分析を前提に,
  Aどの整理手続が自分に一番適しているかの手続選択を行い,
  B選択した手続の中で個別のニーズを確保するため手続進行を行うこと,
が必要となります。
 弁護士は,このそれぞれの場面で,分析・助言・手続代理を行います。
 とりわけ法的整理においては,負債・財産状況が異なるため,ケースごとに異なる柔軟かつ臨機応変な対応が必要となる場合が多く,一般に弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。

バナースペース

中井総合法律事務所

弁護士 中井 洋輔
 (島根県弁護士会所属)

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